ぜにがたへいじとりものひかえ 202 かくしねんぶつ
銭形平次捕物控 202 隠し念仏

冒頭文

一 「親分、親分が一番憎いのは何んとか言ひましたネ」 ガラツ八の八五郎、入つて來るといきなりお先煙草の烟管(きせる)を引寄せて、斯んな途徹(とてつ)もないことを言ふのです。 初秋の陽足(ひあし)は疊の目を這ひ上がつて、朝乍(なが)ら汗ばむやうな端居に、平次は番茶の香氣をいつくしみ乍ら、突拍子もない八五郎の挨拶を受けたのでした。 「俺が憎いと思ふのは——年中お先煙草を狙ふ奴と、鼻糞(はなくそ)

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1949(昭和24)年9月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十六卷 お長屋碁會
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月1日