ぜにがたへいじとりものひかえ 204 びじょつみあり
銭形平次捕物控 204 美女罪あり

冒頭文

一 「親分、變な野郎が來ましたぜ」 ガラツ八の八五郎、横つ飛びに路地を突つきつて、庭口から洗濯(せんたく)物をかきわけながら、バアと縁側へ顏を出しました。神田明神下の錢形平次の住居、秋の朝陽が長々と這ひ上がつて、簡素な調度を照らして居ります。 「何處へ何が來たんだ。相變らず騷々しいなお前は」 平次はとぐろをほぐして、面白さうなこの注進を迎へました。 「二本差(りやんこ)が二人、肥つたのと、痩(

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1949(昭和24)年11月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十六卷 お長屋碁會
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月1日