ぜにがたへいじとりものひかえ 203 しにんのてがみ
銭形平次捕物控 203 死人の手紙

冒頭文

一 「親分、死んだ人間が手紙を書くものでせうか」 あわて者のガラツ八は、今日もまた變梃(へんてこ)なネタを嗅ぎ出して來た樣子です。 町庇(まちびさし)の影が漸(ようや)く深くなつて、江戸の秋色も一段とこまやかな菊月のある日、 「何を言ふんだ。生きてゐる人間だつて、書けねえのがうんとあるぜ」 平次は月代(さかやき)を剃(あた)つて貰ひ乍ら、振り向いて見ようともしません。尤も剃刀(かみそり)を持

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1949(昭和24)年10月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十六卷 お長屋碁會
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月1日