ぜにがたへいじとりものひかえ 186 ごさいかご
銭形平次捕物控 186 御宰籠

冒頭文

一 「困つたことがあるんだがな、八」 よく〳〵の事でせう、錢形平次は額に煙草を吸はせて、初秋のケチな庭を眺めるでもなく、ひどく屈托(くつたく)して居るのです。 「なんです、大概(たいがい)のことなら、あつしが引受けて埒(らち)を明けますよ、女出入りとか、借金の云ひ譯とか、いづれそんな事ぢやありませんか」 日に一度づつはやつて來るガラツ八の八五郎、今日は新聞(ニユース)種のない手持無沙汰を、庭口か

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1948(昭和23)年9月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十六卷 お長屋碁會
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月1日