ぜにがたへいじとりものひかえ 200 しがいのはなよめ
銭形平次捕物控 200 死骸の花嫁

冒頭文

一 「あツ、大變。嫁御(よめご)が死んでゐる」 駕籠の戸を押しあけた仲人(なかうど)の伊賀屋源六は、まさに完全に尻餅をつきました。 「何?」「そんな馬鹿なことが」 伊賀屋源六が大地を這ひ廻る後ろから、六つ七つの提灯は一ぺンに集まつて、駕籠の中を蔽(おほ)ふところなく照らし出したのです。 中には當夜の花嫁、浪人秋山佐仲の娘お喜美が、晴着の胸を紅に染めて、角隱しをした首をがつくりと、前にのめつて

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1949(昭和24)年7月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十五卷 火の呪ひ
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年5月10日