ぜにがたへいじとりものひかえ 136 しょうごろうのし |
| 銭形平次捕物控 136 鐘五郎の死 |
冒頭文
一 三河町一丁目の大元締(おほもとじめ)、溝口屋鐘五郎の家は、その晩割れ返るやうな賑ひでした。親分の鐘五郎は四十三歳、後厄(あとやく)の大事な誕生日を迎へた上、新に大々名二軒の出入りを許されて、押しも押されもせぬ、江戸一番の人入稼業になつた心祝ひの酒盛だつたのです。 集つた子分は三十八人、店から奧へ三間ほど打つこ拔いて、底の拔けるやうな騷ぎ。——十六基の燭臺、二十幾つの提灯に照された酒池肉林
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋社、1942(昭和17)年8月号
底本
- 錢形平次捕物全集第二十五卷 火の呪ひ
- 同光社
- 1954(昭和29)年5月10日