ぜにがたへいじとりものひかえ 130 ぶってき
銭形平次捕物控 130 仏敵

冒頭文

一 不動明王の木像が、その右手に持つた降魔(かうま)の利劍(りけん)で、金貸叶屋(かなうや)重三郎を突き殺したといふ、江戸開府以來の大騷ぎがありました。 八百八町には、その日のうちに呼び賣の瓦版(かはらばん)が飛んで、街々の髮結床や井戸端は、その噂で持ちきつた日の夕景、——錢形平次のところに相變らずガラツ八の八五郎が、この情報を持ち込んで來たのです。 「こいつは驚くでせう。誰が何んと言つた

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1942(昭和17)年2月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十五卷 火の呪ひ
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年5月10日