ぜにがたへいじとりものひかえ 118 ふきやのべに
銭形平次捕物控 118 吹矢の紅

冒頭文

一 錢形平次はお上の御用で甲府へ行つて留守、女房のお靜は久し振りに本所の叔母さんを訪ねて、 「しいちやんのは鬼の留守に洗濯(せんたく)ぢやなくて、淋しくなつてたまらないから、私のやうなものを思ひ出して來てくれたんだらう」などと、遠慮のないことを言はれながら、半日油を賣つた歸り途、東兩國の盛り場に差しかゝつたのは、かれこれ申刻(なゝつ)(四時)近い時分でした。 平次と一緒になる前、一二年こゝの水

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1941(昭和16)年2月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十四卷 吹矢の紅
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年4月25日