ぜにがたへいじとりものひかえ 120 ろっけんながや
銭形平次捕物控 120 六軒長屋

冒頭文

一 本郷菊坂の六軒長屋——袋路地の一番奧の左側に住んでゐる、烏婆(からすばゝ)アのお六が、その日の朝、無慘な死骸になつて發見されたのです。 見付けたのは、人もあらうに、隣に住んでゐる大工(だいく)の金五郎の娘お美乃。親孝行で綺麗で、掃溜(はきだめ)に鶴の降りたやうな清純な感じのするのが、幾日か滯(とゞこほ)つた日濟しの金——と言つても、緡(さし)に差した鳥目を二本、袂(たもと)で隱してそつと

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1941(昭和16)年4月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十三卷 刑場の花嫁
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年4月5日