ぜにがたへいじとりものひかえ 314 びしょうねんこく |
銭形平次捕物控 314 美少年国 |
冒頭文
源氏長屋の怪 一 いつものやうに、この話は、八五郎の早耳帳(はやみゝちやう)から始まります。 「ところで親分」 「何が『ところで』なんだ、藪(やぶ)から棒に」 棚の落ちたのも吊れないやうな、不器用な平次が、唐紙の穴を繕(つくろ)いながら、鳴り込むやうに入つてくる八五郎を迎へました。片襷(かただすき)——それは女房のお靜に、袂(たもと)へ糊がつくからとこぼされて、お
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「報知新聞」1953(昭和28)年8月
底本
- 錢形平次捕物全集第二十二卷 美少年國
- 同光社
- 1954(昭和29)年3月25日