ぜにがたへいじとりものひかえ 001 こんじきのおとめ |
銭形平次捕物控 001 金色の処女 |
冒頭文
これは錢形平次の最初の手柄話で、この事件が平次を有名にしたのです。この頃お靜はまだ平次の女房になつて居ず、ガラツ八も現はれては居りません。 一 「平次、折入つての頼みだ。引受けてくれるか」 「へエ——」 錢形の平次は、相手の眞意を測(はか)り兼ねて、そつと顏を上げました。二十四、五の苦み走つた好い男、藍微塵(あゐみぢん)の狹い袷(あはせ)が膝小僧を押し隱して、彌造(
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋社、1931(昭和6)年4月号
底本
- 錢形平次捕物全集第二十二卷 美少年國
- 同光社
- 1954(昭和29)年3月25日