ぜにがたへいじとりものひかえ 010 しちにんのはなよめ
銭形平次捕物控 010 七人の花嫁

冒頭文

本篇も亦、平次の獨身もの。許婚中の美しくて純情なお靜が平次の爲に喜んで死地に赴きます。 一 「やい、八」 「何です、親分」 「ちよいと顏を貸しな」 「へ、へ、へツ、こんな面(つら)でもよかつたら、存分に使つて下せえ」 「氣取るなよ、どうせ身代りの贋首(にせくび)つてえ面ぢやねえ。顏と言つたのは言葉の綾(あや)だ。本當の所は、手前(てめえ)の足が借りてえ」 捕物

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1932(昭和7)年1月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十二卷 美少年國
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年3月25日