ぜにがたへいじとりものひかえ 006 ふくしゅうきのすがた |
銭形平次捕物控 006 復讐鬼の姿 |
冒頭文
本篇はわれらの愛する「錢形平次」がまだ獨身で活躍してゐる頃の話です。 一 「た、助けてくれ」 若黨(わかたう)の勇吉は、玄關の敷臺(しきだい)へ駈け込んで眼を廻してしまひました。 八丁堀の與力(よりき)笹野新三郎の役宅、主人の新三郎はその日、鈴ヶ森の磔刑(はりつけ)に立ち會つて、跡始末が遲れたものか、まだ歸らず、妻のお國は二三人の召使を供につれて、兩國の川開
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋社、1931(昭和6)年9月号
底本
- 錢形平次捕物全集第二十二卷 美少年國
- 同光社
- 1954(昭和29)年3月25日