ぜにがたへいじとりものひかえ 301 たからほりのよる
銭形平次捕物控 301 宝掘りの夜

冒頭文

一 「親分、金儲けを好きですか」 ガラツ八の八五郎、また飛んでもないことを言ひ出すのです。 櫻は過ぎたが、遊び足りない江戸の人達は、ゆく春を惜(をし)んで、ほろ醉心地のその日〳〵を送つてゐるやうな、ウラウラとした日が續きます。 相變らず神田明神下の平次住居の段、親分は怠(なま)け者で、子分は呑氣者で、お米の値段と係(かゝ)はりのない掛け合ひ噺(ばなし)ばかりしてゐるのかと思ふと、豈計(あに

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1953(昭和28)年6月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十一卷 闇に飛ぶ箭
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年2月15日