ぜにがたへいじとりものひかえ 304 よめのし |
| 銭形平次捕物控 304 嫁の死 |
冒頭文
一 「親分、お早やうございます」 八五郎はいつになく几帳面(きちやうめん)に格子戸を開けて入つて來ました。神田明神下の、錢形平次住居の段、——尤(もつと)も、几帳面に引かないと、この格子は番(つがひ)ごと敷居から外れます。 借金の言ひわけと細工事(さいくごと)が大嫌ひで、棚が落ちても釣らうとせず、半日肩で押へてゐて、八五郎が來るのを待ち兼ねない平次です。入口の格子戸の外(はづ)れるくらゐのこと
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋新社、1953(昭和28)年9月号
底本
- 錢形平次捕物全集第二十一卷 闇に飛ぶ箭
- 同光社
- 1954(昭和29)年2月15日