ぜにがたへいじとりものひかえ 114 いしょのつみ
銭形平次捕物控 114 遺書の罪

冒頭文

一 「親分、ちよいと逢つてお願ひし度いといふ人があるんだが——」 ガラツ八の八五郎は膝つ小僧を揃へて神妙に申上げるのです。 「大層改(あらた)まりやがつたな。金の工面と情事(いろごと)の橋渡しは御免だが、外のことなら大概(たいがい)のことは引受けるぜ」 平次は安直に居住ひを直しました。粉煙草もお小遣も、お上の御用までが種切(たねぎ)れになつて、二三日張合もなく生き伸びてゐる心持の平次だつたのです

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1940(昭和15)年10月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十卷 狐の嫁入
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年11月15日