ぜにがたへいじとりものひかえ 173 わかさまのし
銭形平次捕物控 173 若様の死

冒頭文

一 「親分、是非逢ひ度いといふ人があるんだが——」 初冬の日向(ひなた)を追ひ乍ら、退屈しのぎの粉煙草を燻(くゆら)して居る錢形平次の鼻の先に、ガラツ八の八五郎は、神妙らしく膝つ小僧を揃へるのでした。 「逢つてやりや宜いぢやねえか、遠慮することはあるめえ、——相手は新造(しんぞ)か年増か、それとも婆さんか」「あつしぢやありませんよ。錢形の親分に逢ひ度いんださうで、染井からわざ〳〵神田まで、馬に喰

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1947(昭和22)年11月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十卷 狐の嫁入
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年11月15日