ぜにがたへいじとりものひかえ 171 にせはちごろう
銭形平次捕物控 171 偽八五郎

冒頭文

一 「八、お前近頃惡い料簡を起しやしないか。三輪の萬七親分が變なことを言つて居たやうだが——」 八五郎の顏を見ると、錢形平次はニヤリニヤリと笑ひ乍ら、こんな人の惡いことを言ふのです。 「それですよ、親分。あつしはそんな惡い人間に見えますか」 八五郎は少しばかり肩肘(かたひぢ)を張ります。 「甘い人間だとは思つて居るが、惡い人間とは氣が付かなかつたよ。尤(もつと)もさう果し眼になると、思ひの外お

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1947(昭和22)年9月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十卷 狐の嫁入
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年11月15日