ぜにがたへいじとりものひかえ 182 あまがべに
銭形平次捕物控 182 尼が紅

冒頭文

一 「親分、變なことがあるんだが——」「お前に言はせると、世の中のことは皆んな變だよ。角の荒物屋のお清坊が、八五郎に渡りをつけずに嫁に行くのも變なら、松永町の尼寺(あまでら)の猫の子にさかりが付くのも變——」「止して下さいよ、そんな事を、見つともない」 錢形平次と子分の八五郎は、相變らず斯(こ)んなトボケた調子で話を運ぶのでした。平次の戀女房のお靜は、我慢がなり兼ねた樣子で、笑ひを噛み殺し乍ら、お

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1948(昭和23)年5月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第十九卷 神隱し
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年11月5日