ぜにがたへいじとりものひかえ 167 どくしゅ |
| 銭形平次捕物控 167 毒酒 |
冒頭文
一 「親分、今日は、良い陽氣ですぜ。家の中に引つ込んで、煙草の煙の曲藝をやつてゐるのは勿體ないぢやありませんか」 ガラツ八の八五郎は、入つて來るなり、敷居際に突つ立つて、斯んな事を言ふのです。 「大きなお世話だよ、どうせお前のやうに、空(から)つ尻(けつ)のくせに、花見に出かけるほどの膽力はないからだよ。——陽氣が良いから、日向に引つくり返つて居ても、トロリと醉ひ心地になるぜ」 錢形の平次は、斯
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋新社、1947(昭和22)年4月特別号
底本
- 錢形平次捕物全集第十九卷 神隱し
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年11月5日