ぜにがたへいじとりものひかえ 168 きけいのまめ
銭形平次捕物控 168 詭計の豆

冒頭文

一 「親分、四谷忍(おし)町の小松屋といふのを御存じですか」「聞いたことがあるやうだな——山の手では分限(ぶげん)のうちに數へられてゐる地主か何んかだらう」 錢形平次が狹い庭に下りて、道樂の植木の世話を燒いて居ると、低い木戸の上に顎(あご)をのつけるやうに、ガラツ八の八五郎が聲を掛けるのでした。 「その小松屋の若旦那の重三郎さんを案内して來ましたよ。親分にお目にかゝつて、お願ひ申上げたいことがあ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1947(昭和22)年5月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第十九卷 神隱し
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年11月5日