ぜにがたへいじとりものひかえ 169 くしのもじ |
| 銭形平次捕物控 169 櫛の文字 |
冒頭文
一 「親分、良い陽氣ですね」「何んだ、八にしちや、大層お世辭が良いぢやないか。何にか又頼み度い事があるんだらう。金か御馳走か、それとも色の取持か。どつちだ」 錢形平次と八五郎は、斯(こ)んな調子で話を始めたのです。 「そんな氣障(きざ)なんぢやありませんよ。金はふんだんにあるし、うまい物は腹一杯に食べてゐるし、女の子はうるさいほど付き纒(まと)ふし、此樣子ぢやどうも身が保てねえ」「馬鹿野郎、張り
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋新社、1947(昭和22)年6月号
底本
- 錢形平次捕物全集第十九卷 神隱し
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年11月5日