ぜにがたへいじとりものひかえ 178 みずごり
銭形平次捕物控 178 水垢離

冒頭文

一 飯田町の地主、朝田屋勘兵衞が死んで間もなく、その豪勢な家が、自火を出して一ぺんに燒けてしまつたことがあります。火事は幸ひ一軒で濟みましたが、主人勘兵衞が死んだ後、思ひの外の大きい借金があつたりして、暮を越し兼ねての細工(さいく)ではないかなどと、變な噂が立つたりしたものです。 「へツ、へツ、親分、變なことがありましたよ」 ガラツ八の八五郎相好を崩(くづ)して飛込んで來たのは、松が取れたばか

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1948(昭和23)年1月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第十九卷 神隱し
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年11月5日