ぜにがたへいじとりものひかえ 165 きりのごくいん |
| 銭形平次捕物控 165 桐の極印 |
冒頭文
一 「親分、變な奴が來ましたよ」 ガラツ八の八五郎は、長んがい顎(あご)を鳶口(とびぐち)のやうに安唐紙へ引つ掛けて、二つ三つ瞬きをして見せました。 「お前よりも變か」 何んといふ挨拶でせう。錢形平次は斯(こ)んなことを言ひ乍ら、日向(ひなた)に寢そべつたまゝ、粉煙草をせゝつて居るのです。 「へツ、あつしよりは若くて可愛らしいので」「新造か、年増か、それとも——」「何處かの小僧ですよ。——錢形
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋新社、1947(昭和22)年1月号
底本
- 錢形平次捕物全集第十八卷 彦徳の面
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年10月20日