ぜにがたへいじとりものひかえ 151 おぎんおたま
銭形平次捕物控 151 お銀お玉

冒頭文

一 「親分、變な事があるんだが——」 ガラツ八の八五郎が、鼻をヒクヒクさせ乍ら來たのは、後の月が過ぎて、江戸も冬仕度に忙しいある朝のことでした。 「手紙が來たんだらう、恐ろしい金釘流(かなくぎりう)で、——兩國の蟹澤(かにざは)のお銀が死んだのは唯事ぢやねえ。葬(とむら)ひの濟まぬうち、檢屍を頼む——と斯(か)う書いてある筈だ」 錢形の平次は粉煙草をせゝり乍ら、少し節をつけて言ふのでした。 「

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝讀物」文藝春秋社、1943(昭和18)年12月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第十八卷 彦徳の面
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年10月20日