ぜにがたへいじとりものひかえ 148 ひょっとこのめん
銭形平次捕物控 148 彦徳の面

冒頭文

一 「親分、變なことがあるんだが——」 ガラツ八の八五郎は、大きな鼻の穴をひろげて、日本一のキナ臭い顏を親分の前へ持つて來たのでした。 「横町の瞽女(ごぜ)が嫁に行く話なら知つてるぜ。相手は知らないが、八五郎でないことは確かだ。今更文句を言つたつて手遲れだよ八。諦(あきら)めるが宜い」 錢形平次は無精髯を拔き乍ら、ケロリとして斯(こ)んなことを言ふのです。お盆過ぎのある日、御用がすつかり暇になつ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝讀物」文藝春秋社、1943(昭和18)年9月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第十八卷 彦徳の面
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年10月20日