ぜにがたへいじとりものひかえ 162 むすめとにせんりょう
銭形平次捕物控 162 娘と二千両

冒頭文

一 「わツ驚いた、ドブ板が陷穴(おとしあな)になつて居るぜ。踏(ふ)み返したとたんに赤犬が噛み付きさうに吠える仕掛は念入り過ぎやしませんか、親分」 ガラツ八の八五郎は危ふく格子戸につかまつて、件(くだん)の噛み付くやうな赤犬を追ひ乍ら、四方(あたり)構はぬ聲をあげるのでした。 「靜かにしろ、そいつは皆んな借金取除けの禁呪(まじなひ)なんだ、——今日を何時だと思ふ」 捕物の名人錢形の平次は、六疊縁

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「東北文庫」1946(昭和21)年

底本

  • 錢形平次捕物全集第十八卷 彦徳の面
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年10月20日