ぜにがたへいじとりものひかえ 137 あかいしごき
銭形平次捕物控 137 紅い扱帯

冒頭文

一 小網(こあみ)町二丁目の袋物問屋丸屋六兵衞は、到頭嫁のお絹を追ひ出した上、伜の染五郎を土藏の二階に閉(と)ぢ籠(こ)めてしまひました。 理由はいろ〳〵ありますが、その第一番に擧げられるのは、染五郎は跡取には相違ないにしても、六兵衞の本當の子ではなく、藁(わら)の上から引取つた甥(おひ)で、情愛の上にいくらか裃(かみしも)を着たものがあり、第二番の直接原因は、お絹の里が商賣の手違ひから去年

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1942(昭和17)年9月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第十七卷 權八の罪
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年10月10日