ぜにがたへいじとりものひかえ 144 ちゃわんわり
銭形平次捕物控 144 茶碗割り

冒頭文

一 「親分、ちと出かけちやどうです。花は盛りだし、天氣はよし」「その上、金がありや申分はないがね」 誘(さそ)ひに來たガラツ八の八五郎をからかひ乍ら相變らず植木の新芽(しんめ)をいつくしむ錢形の平次だつたのです。 「實はね、親分。巣鴨(すがも)の大百姓で、高利の金まで貸し、萬兩分限と言はれた井筒屋重兵衞が十日前に死んだんだが、葬(とむら)ひ萬端濟んだ後で、その死に樣が怪しいから、再度のお調べが願

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1943(昭和18)年5月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第十七卷 權八の罪
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年10月10日