ぜにがたへいじとりものひかえ 311 きじょ |
銭形平次捕物控 311 鬼女 |
冒頭文
附け文ごつこ 一 「あら、八五郎親分」 神田お臺所町(だいどころまち)、これから親分の錢形平次の家へ朝詣りに行かうといふところで、八五郎は馥郁(ふくいく)たる年増に抱きつかれてしまひました。 櫻の蕾(つぼみ)もふくらみさうな美しい朝、鼻の穴を大きくして、彌造を二つ、七三に拵(こさ)へて、間伸びのした小唄なんかをひよぐりながら、親分の錢形平次の家へ、その日の新聞種(ニ
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「報知新聞」1953(昭和28)年3月
底本
- 錢形平次捕物全集第十二卷 鬼女
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年8月25日