ぜにがたへいじとりものひかえ 079 じゅうしちのむすめ |
銭形平次捕物控 079 十七の娘 |
冒頭文
一 荒物屋のお今——今年十七になる滅法(めつぽふ)可愛らしいのが、祭り衣裳の晴れやかな姿で、湯島一丁目の路地の奧に殺されて居りました。 「まア、可哀想に」 「あんな人好(ひとず)きのする娘(こ)をねエ」 ドツと溢(あふ)れる路地の彌次馬を、ガラツ八の八五郎、どんなに骨を折つて追ひ散らしたことでせう。 「えツ、寄るな〳〵、見世物ぢやねえ」 遠い街の灯や、九月十四日
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋社、1938(昭和13)年8月号
底本
- 錢形平次捕物全集第十卷 八五郎の恋
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年8月10日