ぜにがたへいじとりものひかえ 043 おらんだカルタ
銭形平次捕物控 043 和蘭カルタ

冒頭文

一 「親分、子さらひが流行(はや)るんだつてネ」 「聞いたよ、憎いぢやないか」 錢形平次は苦い顏をしました。 「赤ん坊なら何處へ連れて行かれても、それつきり判らなくなるかも知れないが、浚(さら)はれるのは大概七つ八つから十二三の子だから何んな場所に賣られたにしても、土地の役人なり御用聞なりに、名乘つて出られさうなものぢやありませんか。江戸だけでも何人あるか知れないが、一人も行方

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1935(昭和10)年9月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第十卷 八五郎の恋
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年8月10日