ぜにがたへいじとりものひかえ 016 にんぎょのし
銭形平次捕物控 016 人魚の死

冒頭文

一 「ガラツ八、俺を何處へ伴れて行く積りなんだい」 「まア、默つて蹤(つ)いてお出でなせえ。決して親分が後悔するやうなものは、お目に掛けないから——」 「思(おぼ)し召は有難いが、お前の案内ぢや、不氣味で仕樣がねえ。又丹波笹山で生捕りましたる、八尺の大鼬(おほいたち)なんかぢやあるまいネ」 捕物の名人錢形の平次と、その子分の八五郎、野暮用で龜戸へ行つた歸り、東兩國の見世物小屋へ入つ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1932(昭和7)年7月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第九卷 幻の民五郎
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年7月20日