ぜにがたへいじとりものひかえ 030 くるいざき |
銭形平次捕物控 030 くるひ咲 |
冒頭文
一 相變らず捕物の名人の錢形平次が大縮尻(おほしくじり)をやつて笹野新三郎に褒められた話。 その發端(ほつたん)は世にも恐ろしい『疊屋殺し』でした。 「た、大變ツ」 麹町四丁目、疊屋彌助のところに居る職人の勝藏が、裏口から調子つ外(ぱづ)れな聲を出します。 「何だ、又調練場(てうれんば)から小蛇でも這出(はひだ)して來たのかい」 と、その頃は贅(ぜい)の
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋社、1934(昭和9)年7月号
底本
- 錢形平次捕物全集第八卷 地獄から來た男
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年7月10日