ぜにがたへいじとりものひかえ 076 たけみつのさつじん
銭形平次捕物控 076 竹光の殺人

冒頭文

一 「平次、狸穴(まみあな)まで行つて見ないか、竹光(たけみつ)で武家が一人殺されたんだが——」 與力笹野新三郎は、丁度八丁堀組屋敷に來合せた、錢形平次を誘ひました。 「旦那が御出役で?」 「さうだよ。浪人者には違ひないが、土地では評判の良い人物だ。放(ほ)つても置けまい」 八丁堀の與力が出役するのは、餘程の大捕物で、いづれは殺された武家の舊藩(きうはん)關係に、厄介なこ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1938(昭和13)年5月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第八卷 地獄から來た男
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年7月10日