ぜにがたへいじとりものひかえ 294 いどばたのあいびき
銭形平次捕物控 294 井戸端の逢引

冒頭文

一 「へツ、へツ、親分え」 ガラツ八の八五郎は、髷節(まげぶし)で格子戸をあけて、——嘘をつきやがれ、髷節ぢや格子は開かねえ、俺のところは家賃がうんと溜つて居るから、表の格子だつて、建て付けが惡いんだからと——、錢形の平次は言やしません。 兎も角、恐れ入つた樣子で、明神下の平次の家へ、八五郎はやつて來たのです。 「此方へ入(へえ)んな、何をマゴ〳〵してるんだ」 平次はツイ、長火鉢(ながひばち

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「面白倶楽部」1953(昭和28)年1月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第五卷 蝉丸の香爐
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年5月25日