ぜにがたへいじとりものひかえ 247 おんなごようきき |
| 銭形平次捕物控 247 女御用聞き |
冒頭文
一 「あ、錢形の兄さん」 平次は兩國橋の上で呼留められました。四月の末のある朝、申分なく晴れた淺黄空(あさぎぞら)、初鰹魚(はつがつを)の呼び聲も聽えさうな、さながら江戸名所圖繪の一とこまと言つた風情(ふぜい)でした。 「おや、お品さんぢやないか、こんなに早くどこへ行くんだ、お詣りや物見遊山(ゆさん)でも無ささうだが——」 呼び留めたのは、平次の大先輩で、昔は相當に顏を賣つた御用聞き、石原の利助
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「神戸新聞・北陸夕刊」1951(昭和26)年
底本
- 錢形平次捕物全集第四卷 からくり屋敷
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年5月10日