ぜにがたへいじとりものひかえ 281 ようじんぼう
銭形平次捕物控 281 用心棒

冒頭文

一 「親分、折入つてお願ひがあるんですが」 ガラツ八の八五郎は、柄にもなく膝小僧を揃へて、斯う肩を下げ乍ら、小笠原流の貧乏搖(びんばふゆる)ぎをやつて見せるのでした。 「心得てゐるよ、言ひわけに及ぶものか、その代りたんとは無えが」 錢形平次は、後ろ斜めに、障子の隙間からお勝手を覗いて、其處で晩の仕度をしてゐる女房のお靜に、何やら合圖をするのです。 それを見ると、お靜は心得たもので、帶の間から

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1952(昭和27)年10月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第四卷 からくり屋敷
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年5月10日