ぜにがたへいじとりものひかえ 283 からくりやしき
銭形平次捕物控 283 からくり屋敷

冒頭文

一 「親分、御存じでせうね、あの話を」 ガラツ八の八五郎が、獨り呑込みの話を持込んで來ました。 早咲の梅が、何處からともなく匂つて來る暖かい南縁、錢形平次は日向を樂しんで無精煙草にしてゐるところへ、八五郎がいつもの通り其日のニユースをかき集めて來たのです。 「藪(やぶ)から棒に、何を言ふんだ。江戸中の人間の借金を帳消しにする御布令でも出たといふのか」「そんな事なら驚きやしません。どうせあつし

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1952(昭和27)年12月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第四卷 からくり屋敷
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年5月10日