ぜにがたへいじとりものひかえ 270 てんばむすめ |
| 銭形平次捕物控 270 転婆娘 |
冒頭文
一 「八、その十手を見せびらかすのを止してくれないか」「へエ、斯うやりや宜いんでせう。人に見せないやうに」 親分の平次に言はれて、ガラツ八の八五郎はあわてゝ後ろ腰に差した十手を引つこ拔くと、少々衣紋(えもん)の崩れた旅疲れの懷中にねぢ込むのです。 「だらしがねえなア、房(ふさ)が思はせ振りにハミ出して居る上に、十手の小尻が脇の下に突つ張つて居るぢやないか」「へエ、まだいけませんかね」「此處は江戸
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「實話と読物」1951(昭和26)年11月号
底本
- 錢形平次捕物全集第三卷 五月人形
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年4月20日