ぜにがたへいじとりものひかえ 273 かねのばん
銭形平次捕物控 273 金の番

冒頭文

一 「世の中に、金持ほど馬鹿なものはありませんね」「貧乏人は皆んな、そんな事を言ふよ、つまらねえ持句(もちく)さ」 平次と八五郎は、相變らず空茶(からちや)に馬糞煙草(まぐそたばこ)で、いつものやうな掛け合ひを始めて居ります。薄ら寒い二月の、ある朝の一と刻、八五郎の人生觀が、この不思議な事件へ錢形平次を追ひやる動機でした。 「金さへ無きや、こちとらのやうに呑氣に暮せるのに、苦勞して金を拵へて、今

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1952(昭和27)年2月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第三卷 五月人形
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年4月20日