ぜにがたへいじとりものひかえ 274 にせがね |
| 銭形平次捕物控 274 贋金 |
冒頭文
一 「親分、この頃妙なものが流行(はや)るさうですね」 八五郎がそんな話を持込んで來たのは、三月半ばの、丁度花もおしまひになりかけた頃、浮かれ氣分の江戸の町人達も、どうやら落着きを取戻して、仕事と商賣に精を出さうと言つた、殊勝な心掛になりかけた時分でした。 「流行物(はやりもの)と言へば、大道博奕(ばくち)に舟比丘尼(ふなびくに)、お前の頭のやうに髷節(まげぶし)を無闇に右に曲げるのだつて流行物
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋新社、1952(昭和27)年3月号
底本
- 錢形平次捕物全集第三卷 五月人形
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年4月20日