ぜにがたへいじとりものひかえ 275 ごがつにんぎょう
銭形平次捕物控 275 五月人形

冒頭文

一 「親分、世間はたうとう五月の節句(せつく)となりましたね」 八五郎が感慨無量の聲を出すのです。 「世間と來たね、お前のところは、五月節句が素通りすることになつたのか」 平次は退屈さうでした。この十日ばかりは小泥棒と夫婦喧嘩位しか無く、平次の見張つて居る明神樣の氏子(うぢこ)は申す迄もなく、江戸の下町一帶は、まことに平穩無事な日が續いて居りました。 「あつしも男の子でせう、それに間違ひもなく

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1952(昭和27)年4月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第三卷 五月人形
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年4月20日