ぜにがたへいじとりものひかえ 265 うつくしきかまいたち
銭形平次捕物控 265 美しき鎌いたち

冒頭文

一 「いやもう、驚いたの驚かねえの」 八五郎がやつて來たのは、彼岸(ひがん)過ぎのある日の夕方、相變らず明神下の路地一パイに張り上げて、走りのニユースを響かせるのでした。 「何を騷ぐんだ、ドブ板の蔭から、でつかい蚯蚓(みゝず)でも這ひ出したといふのか」 平次は晝寢の枕にしてゐた、三世相大雜書を押し退けると、無精煙草の煙管を取上げます。 「そんな間拔けな大變ぢやありませんよ、いきなり頭の上から、

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「サンデー毎日」1951(昭和26)年9月新秋号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二卷 白梅の精
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年4月5日