ぜにがたへいじとりものひかえ 260 めうす |
| 銭形平次捕物控 260 女臼 |
冒頭文
一 「親分、先刻から路地の中を、往つたり來たり、お百度を踏(ふ)んでゐる女がありますが、ありや何でせう」 八五郎は自分の肩越しに、煙管(きせる)の吸口で格子の外を指すのです。 「わけがあり相だな、お前に跟(つ)いて來た女馬(をんなうま)ぢや無かつたのか、拂ふものは拂つて、早く歸した方が宜いぜ」 毎度のことで、錢形平次は驚く色もありません。 「冗談でせう、あつしは叔母の家から眞つ直ぐに來たばかり
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋新社、1951(昭和26)年12月号
底本
- 錢形平次捕物全集第二卷 白梅の精
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年4月5日