ぜにがたへいじとりものひかえ 284 はくばいのせい
銭形平次捕物控 284 白梅の精

冒頭文

一 二月のある日、歩いてゐると斯(か)う、額口の汗ばむやうな晝下がり、巣鴨(すがも)からの野暮用の歸り、白山あたりへ辿りついた頃は、連の八五郎はもう、何んとなく御機嫌が斜めになつて居りました。 「大層元氣が無いやうだな、八」 平次は足を淀(よど)ませて、八五郎の長い顎(あご)を振り返りました。 「さういふわけぢやありませんがね、何處かで一と休みして、一服やらかさうぢやありませんか」「煙草なら

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「講談倶樂部」1952(昭和27)年2月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二卷 白梅の精
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年4月5日