ぜにがたへいじとりものひかえ 285 かくれんぼう
銭形平次捕物控 285 隠れん坊

冒頭文

一 「もう宜いかい」「まアだゞよ」 子供達はまた、隱れん坊に夢中でした。此邊は古い江戸の地圖にも、『植木屋(うゑきや)と百姓家多し』と書いてある位で、お天氣さへ良ければ、子供達は家の中で遊ぶといふことは無いのですが、雨が降ると、室内遊戲(いうぎ)の方法も興味も持たない子供達は、一日に一度は屹度『隱れん坊』を始めるのです。 それは限りなく安らかな晝下がりでした。櫻が散つて、菜の花が黄金色に燃えて

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「小説新潮別冊」1952(昭和27)年6月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二卷 白梅の精
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年4月5日