ぜにがたへいじとりものひかえ 261 よわいろうにん |
| 銭形平次捕物控 261 弱い浪人 |
冒頭文
一 増田屋金兵衞、その晩は明るい内から庭に縁臺を持出させ、九月十三夜の後(のち)の月を、たつた一人で眺めることにきめました。 金があつてしみつ垂れで、人づき合ひが嫌ひで、恐ろしく風流氣のある金兵衞は、八月十五日の名月も、この獨自のシステムで觀賞し、悉(こと〴〵)く良い心持になれたので、それを又くり返して、その頃嫌つた片月見にならぬやうにと、いとも經濟的な魂膽(こんたん)だつたに違ひありません
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「改造」1951(昭和26)年1月号
底本
- 錢形平次捕物全集第二卷 白梅の精
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年4月5日