ぜにがたへいじとりものひかえ 264 はちごろうのこいびと |
| 銭形平次捕物控 264 八五郎の恋人 |
冒頭文
一 「親分、お早やう」 飛込んで來たのは、お玉ヶ池の玉吉といふ中年者の下つ引でした。八五郎を少し老(ふ)けさせて、一とまはりボカしたやうな男、八五郎の長(な)んがい顏に比べると、半分位しか無い、まん圓な顏が特色的でした。 「玉吉兄哥(あにい)か、どうしたんだ、大層あわてゝ居るぢやないか」 明神下の平次の家、障子の隙間からヌツと出したのは、その八五郎の長んがい顎(あご)だつたのです。 「錢形の親
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「面白倶樂部」1951(昭和26)年夏季増刊
底本
- 錢形平次捕物全集第二卷 白梅の精
- 同光社磯部書房
- 1953(昭和28)年4月5日