ぜにがたへいじとりものひかえ 257 たこいとのなぞ
銭形平次捕物控 257 凧糸の謎

冒頭文

一 三田四國町の大地主、老木屋(おいきや)勝藏の養父で今年六十八になる八郎兵衞は、その朝隱居所の二階で、紅(あけ)に染んだ死骸になつて發見されました。 老木屋といふのは、裏庭に一と抱(かゝへ)に餘る松の老木があるので知られた家で、先代の主人八郎兵衞は病弱のため五年前に隱居し、家督(かとく)を夫婦養子の勝藏お元に讓つて、老妻のお妻と二人、母屋からは廊下續きになつて居る小さい二階家の離屋に住んで

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1951(昭和26)年10月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第一卷 恋をせぬ女
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年3月25日